追悼
去る2月4日に元東京グライダークラブの菊池光基さんが亡くなりました。
自分の信念をひたすら追求して、ついには仲間も資金も失い、孤独に生を終えました。
しかし菊地さんは、私の同情とは裏腹に、常に夢を信念として前向きに生きていたので、訃報を聞いたときは驚きました。飛行中の不慮な事故で亡くなるならまだしも、身体健全な方でしたから、まさか病気で亡くなるとは考えられませんでした。
荒れた河川敷を一人で切り開き、グライダー場を開設し、東京グライダークラブを立ち上げた当初は多くの愛好者が集結しました。
羽生ソアリングクラブを開設する前は、私もお世話になりました。
ところが彼の信念に立ちふさがったのが彼の心にあった別の信念でした。
会員をお客様扱いにしつつ作業全てを一人でこなそうとした彼の信念には無理があり、機体整備や運行管理に抜けが生じました。さらには野外係留していた曳航機及びグライダーが竜巻で壊され、数機を失う事もありました。
菊地さんの不幸を見かねた支援者が機体を提供したりしましたが、彼の別の信念が機体の管理をおろそかにして次々と機材を失い、ついには自由に動かせる機材は皆無になりました。その矢先に亡くなったのです。
さぞや無念だったことと思います。
ひたすら楽しいグライダークラブを創り、世に広めたい、と言っていた彼の信念は極めて純情で、決して他人の悪口や恨み言を言わず、グライダー場周辺の河川敷や土手の草刈りを無料で行い、近隣の住民に感謝されるほど社会性を備えた方でした。私が彼を追憶するのは、失敗に終わったとはいえ、私を含めて、かつての会員たちに飛ぶことの喜びと場所を提供してくれたことです。
そしてゼロからグライダー場を開設してグライダークラブを立ち上げた私と同じ信念に共感を覚えるからです。
追憶しつつ彼の信念を紐解けば、後輩たちの心に響くものがあると思います。冥福をお祈りします。
2026年3月2日
羽生ソアリングクラブ運営委員長
English

